猿谷透の精神科医の日記

開業精神科医が毎日の出来事を日記にしたためます。守秘義務の許す範囲で公開していきます

9.10

 朝は30分遅れで起床。本当に調子が悪い。スランプという奴か。ついてからはなにもせずに診察をむかえる。

 朝から患者さんは来ているが、あまり厄介な人はいない。でも途中でどうしようもなくなる。人の話を聞くのが苦痛で仕方がない。何度か休憩をとってから、意識をずらし、ユッタリとした気持ちで応対するように心がけた。そのせいか途中からは苦痛も軽減してお昼をむかえることが出来た。

 お昼休みにゆっくり休めたのに、夜診に出向くときには身体が重たい。午前診のごとく、流れに身を任せる診察スタイルで切り抜けていく。焦らず、力まずにやっていく。何とか診療終了したあと、和泉さんが相談に来た。

 結婚を11月にするのだが、夫が姫路の勤務に決まったらしい。以前から婚約者の話は聞いていたのだが、結局うちを退職する話になってしまった。村田に続いて和泉も退職である。手塩にかけた職員が次々に辞めていく。しかも新しい職員の募集は上手くいっていない。何とか今のままでやりたいと願う俺の怠慢だろうか.打つ手が遅すぎる。こういう事態は十分に予想されていたのだから、もっと早くに手を打たねば。

 和泉に対しては自分たちの生活を優先するように伝えた.ここまで困窮してもいい人に思われたいのか、バカ!

 開業当初のことを思えば、ぎりぎりの職員でもまだ余裕がある。最悪俺ひとりでのんびりやれば良い。でも何とか切ない気持ちになってしまう夜だった