猿谷透の精神科医の日記

開業精神科医が毎日の出来事を日記にしたためます。守秘義務の許す範囲で公開していきます

8/6 2014

 最近毎晩飲んでいるせいか目覚めが悪い。起きてから1〜2分はじーっとしてないと動けない。昔タバコを吸っていたときにそんなことがあったが、現在はどうも血圧が下がっているような気がする。

 朝からこれでもかというくらいに患者さんが押し寄せてきた。テキパキこなすと後半疲れるので前半は間延びを覚悟でゆっくり診察。後半ペースアップをしようかと思うが、なかなか思うようにいかなかった。2時に診察終了。そこから往診へ。特養の患者さんも亡くなったりして減ってきた。それまで利用者を入れていなかった一階部分に人がいる。どうもお上から指導があったらしい。稼働していないフロアを虚偽の報告をしていたらしい。補助金政策は結局このような不正の温床となる。指導があったあともひとりだけお婆ちゃんを移してるだけで何ら根本は変わっていない。つまりいかに人を雇わずに経営するかなのだ。資本主義社会で非営利ということがそもそも虚構なのである。

 続いて有料老人ホーム。ここもガラガラ。患者さんは激減している。以前からここの体制には疑問を持っていた。サービス業でいえば客足が途絶えて当然の店。そのことに誰も気づいていないことがここの弱さだろう。

 次はケアハウス。退所や死亡で現在患者数5人。さらに同一法人が建てる特養に2人が移動するので来月から患者数は3人になる。こんなことではうちは大赤字なのだ。どういうこっちゃ。3人だけなら外来に連れてこいと言える人数である。

 移動の車の中でもこのままでは往診なんてやってると体力を削がれるばかりで経営が傾くのではないかと暗い気持ちになっていたのだが、次は在宅訪問。調子を崩したので緊急の訪問だった。お母さんがもう限界の様子。本人は脱抑制して、イライラが強い。家族、ケアマネを交えて話し合った。何とか元の状態に戻すべく努力することを伝えた。お母さん泣いていた。プレッシャーはかかるが医者冥利に尽きる仕事だ。これこそが臨床だろう。訪問診療の魅力はここにある。多少経営が苦しくても続けていこうと思う